なのはな理事長 中川による前回の講演会感想の続きです。
私は知的障害児者親の会である「手をつなぐ育成会」の会員として参加しました。
(育成会の話はそのうちにまた…)
今回、知的障がいのあるご本人からお話を聞けたことは、とても参考になりましたので紹介します。
小田原にお住いのSさんです。
最初に、ご自身の生い立ちに触れられました。
昔から障害について納得しておらず、知的障害という言葉が嫌いで克服したいとずっと思っていたそうです。
親からは妹と比べられ、そのたびに惨めな気持ちになり「いつか追いつきたい」と努力したけれども、追いつくことはできなかったとのこと。
そしてどのような事情かわかりませんが、7歳の時から施設に入所することになったそうです。
「家族の暮らしにあこがれを持っている」との話に、切なさを感じました。
今は、独立型のグループホームで生活をしているそうです。
そんなSさんは、現在、スーパーで日用品や冷凍食品の品出しの仕事をしているそうですが、なんと稼いだお金を親に仕送りしているそうです。
さらに、具合が悪くなっている親の介護を手伝いたい、とまで話をしてくださいました。
この話を聞いて、私は愕然としてしまいました。
小さいころから親元を離れ育っていたSさん、どんなに家族と一緒に住みたかったでしょう。
言葉にはされていませんでしたが、きっとその状況を恨むこともあったことと思います。
なのに、こんなにも親を思う気持ちにあふれているとは…
そしてこんなことも感じました。
障害者にはいつも支援が必要、障害者はいつも守られなければならない。そんなイメージを持ってましたが
そればかりではないということです。
時には誰かを守っていく、支えていくことができる立場にもなれる。自分を必要としてくれる人がいる限り…
お互いを支えあいながら生きていく。これが共生社会なのだと改めて考えさせられました。
Sさんはとても前向きで、何事にも「頑張りたい」という気持ちを強く感じました。
障害者が安心して働けるように専門のスタッフがもっと増えれば、就労の幅が広がりステップアップもでき、働く意欲が出ると話していました。
今後も支援の輪が広がっていくことを期待しています。